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冬場の厳しい自然で知られる北海道ですが、古くから発展してきたアイヌ文化では、アザラシなどの獣皮だけでなく、鮭の皮もなめして履物などの日用品に使っていました。また、近年では、畑の農作物や森の木々を食べてしまうエゾシカからの被害を軽減するため、エゾシカのお肉だけでなく、皮を革として有効活用する方法を探っています。 |
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飛鳥時代から行われている牧畜は1,000年以上の歴史を持っており、その副産物である革を活用した履物製造も盛んでした。現在でも山形県や福島県では地場産業としてその技術が伝えられています。また、フカヒレ産地の宮城県気仙沼市では、命を無駄なくいただくためサメの革もつくっています。
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関東平野に大きな川が流れているため、東京、埼玉、栃木は革のなめしに適した土地柄です。特に東京では墨田川、荒川周辺になめし産業が発展し、現在でも豚革を扱う工場が集積しています。また、革の加工業もたくさん集まっており、浅草界隈は昔から袋物の製造が盛んで、靴、ベルトといった小物製品の工場が軒を連ねています。
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鹿革に漆で装飾する甲州印伝が有名です。中国や西南アジアなど外国から輸入されていた伝革を国産化したものが起源といわれ、江戸時代から広く愛好されてきました。現在では高級バッグなどに姿を変え海外にも輸出されています。また、尾張地方には徳川時代からの馬具職人が多くいた関係で、ランドセルメーカーがたくさん集まっています。
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兵庫県の姫路周辺に集積するなめし産業は全国でも有数の規模を誇っています。なかでも姫路に古くから伝えられてきた白なめしは、甲冑や武具、馬具、太鼓などに幅広く使われてきた姫路を代表する革であり、その技術と職人魂は、現在の姫路の職人たちに受け継がれています。また、和歌山県では明治時代に西洋靴製造と皮革製造のために外国人技師を招いて、皮革産業が発展しました。現在では兵庫、東京と並び、和歌山は日本の皮革三大産地に数えられています。
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香川県東かがわ市で日本の革手袋の90%以上が生産されています。明治32年に大阪から製造技術が伝えられたことに始まり、手袋生産の中心であったドイツと、素材の供給や販売を担っていたイギリスが第一次世界大戦で交戦国となったことによる特需をきっかけに産業基盤が構築されたといわれています。
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九州は革の原料となる畜産が盛んで、熊本は馬、鹿児島は豚の産地として有名です。また、江戸時代に外国との窓口になっていた長崎の出島では、エイの革が交易品として扱われていました。エイ革はウロコが固く丈夫なため、刀の柄などに使われていました。沖縄では、外国との交易で得た貴重な革製品が王への献上品になっていました。
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