人類と皮革との歴史は古く、およそ200万年前の旧石器時代にまでさかのぼります。狩猟によって生活を営んできた人類は、寒さや衝撃から身を守るために毛皮や革を活用してきました。旧石器時代の遺跡からは、皮革の加工に使用した道具が発見されており、それを使って除毛などを行っていたものと推測されています。人類は、歴史の中で「皮」を「革」にする「なめし技術」や、革を製品にする「加工技術」を創意工夫し、伝承してきました。 |
動物の皮はそのままにしていると硬くなったり腐ったりしてしまいます。変化しやすい「皮」を長持ちする「革」に生まれ変わらせる技術は、人類の歴史とともに発達してきました。最初は乾かすだけでしたが、柔らかくするために、もむ、叩くといった作業を行うようになりました。さらに柔らかく仕上げるために開発されたのが魚や動物の油脂を塗る「油なめし」で、これは最古のなめし技術と考えられています。また、囲炉裏の近くにかけておくと腐敗しないことから始まった「くん煙なめし」、倒木のそばで死んだ獣の皮や染色のために草木の汁に漬けた皮が腐らないことから発見された「植物タンニンなめし」など、様々ななめし技術が開発されてきました。 |
そうして加工された革は、衣服として利用されていたばかりでなく、寝具、武具、鞍などの様々な用途に利用されていたと考えられます。また、メソポタミアや古代エジプトでは、革製の巻物を書き物の道具に用いていたと伝えられています。中世までは羊や山羊の皮を乾燥させた羊皮紙が重要な記録用紙として使用されてきました。羊皮紙は非常に耐久性が高いため、紀元100年以前の巻物など数多くの資料が残されています。 |