- 女の子
-
「ラララン、
私のランドセル、
ピッカピカ」
- 男の子
-
「ふふふ~、
僕のランドセルぼ~ろぼろ。
でも、いいんだもん。
もうすぐ卒業。
捨てちゃうもん。」
すると~・・・
- ピース
-
「ちょっと、待った!」
- 男の子
-
「き、きみたち、だあれ?」
- ピース
-
「僕たちは、革のピース!
元は命ある動物。
そんなに簡単に
捨てるって言わないでよ」
- 女の子
-
「ねえ、ピース、
かわって私たちの体にも
あるこの皮のこと?」
- ピース
-
「うん。
僕たちは、もとは牛の皮。
でも、今は皮から革へ
生まれ変わったんだよ」
- 男の子
-
「えーっ?
それ、どういう意味?
どうやって、皮から革に変身するの?
ねえピース教えてよ〜」
- ピース
-
「じゃあ、革の工場をのぞいてみようか。
ねえ、みんなも一緒に行こうよ。
僕と一緒に声を合わせて、
こう唱えて。
『カワッコ、カワッコ、ミニイコウ!』って
せーの『カワッコ、カワッコ、ミニイコウ!』」
(会場の全員で唱える)
- 女の子
-
「わあ~、風が吹いてきた~」
ヒュ~ン
さあ、どこに着くのかな~?
- 男の子
-
「ふぅ。着いたね。」
- 女の子
-
「ここが革の工場なの?」
- ピース
-
「そうだよー。
初めに動物の皮についている
汚れを落とすために水で洗うんだ。
それから、石灰に漬けて、
皮を柔らかくして、毛を抜くんだよ。」
- ピース
-
「動物の皮はそのままでは腐ったり、
固くなったりして、使えなくなるんだ。
そこで、薬品をしみこませて、
皮を丈夫で長持ちする革に変えるんだよ。
このことを、『なめす』って言うのさ。
皮をなめすには、使う薬や方法も
たくさんあって、
『なめし職人さん』によって違うんだ。
優れた職人さんの手で、
僕たち、生まれ変わったんだよ!」
- 女の子
-
「そういえば、『革』という字は
『カク』とも読んで、
『改める』『新しくなる』っていう意味を
6年生で習ったよー」
- ピース
-
「薬に漬けた革の水分を取り除いて、
伸ばしながら乾かしているよ。
この後も揉んで柔らかくしたり、色をつけたり、
型で模様をつけることもあるんだ。」
- 男の子
-
「へえ~、皮が革に変わるまでに、
長~い時間と職人さんの技や知恵が
使われていたんだねー」
- ピース
-
「1枚1枚手をかけてできた革は、
君たちと同じように個性があって、
世界にひとつしかない物になるんだよ!
- 女の子
-
「すご~い。
この革から、私たちのランドセルや
サッカーボールが作られるのかー。
ねえ、ピース。
皮をなめす前と後では何が違うの?」
- ピース
-
「それじゃあ、目に見えないくらい
小さ~くなって、皮の正体を見に行こうか。
みんな、また一緒に唱えてね。
せーの、カワッコ、カワッコ、ミニイコウ」
- ピース
-
「これが、牛の皮の断面。
表面に毛が生えているよ。
皮をなめすと、この真ん中の部分や
その下のモコモコしているところの
コラーゲン線維が革になるんだよ」
- ピース
-
「こうしてできた革は、
空気や水分を通したり呼吸しているんだ。
革は、布よりも空気を通しにくく、
水分は吸い込みやすいんだよ。
しかも、形が変わりにくくて丈夫で美しいし、
水にぬらせば形を変えることもできるんだよ。
だから、いろいろなものに使われているんだよ。
ほら、身の回りを探してみると
革で作られているものがいっぱいあるでしょ?
実は、世界中のいろいろなところで
革が使われているんだ!」
- 女の子
-
「わあー、革って世界中で使われているのね。」
- 男の子
-
「ねえ、ピース。人間はいつ頃から
革を使うようになったのかなあ?」
- ピース
-
「今度はそうきたか。
じゃあ、大昔にひとっ飛びしてみようか。
みんな、一緒に、せーの、
カワッコ、カワッコ、ミニイコウ」
ヒュ~ン
- ピース
-
「はるか遠い遠い昔から、
人は他の生き物の命をもらって生きてきたんだ。
みんなも生きるために動物や魚など
たくさんの命をいただいているよね。
お肉は、動物の体の一部分でしょ。
食べた後に残る皮や骨も同じ。
いろいろなことに使われているよね
- 女の子
-
「毛皮は、寒さや怪我から身を守るのに
役立つよね。骨や角も飾りや道具になるね。
- 男の子
-
「食べることだけでなく、着るのも、住むのも、
人は昔から生き物のお世話になってきたのかー」
- ピース
-
「皮をなめす技術は、
五千年くらい前からあったと言われているから、
人と革は、
長い長いおつきあいをしているってことだね。
では、またタイムスリップしてみよう。
せーの、カワッコ、カワッコ、ミニイコウ」
ヒュ~ン
- 男の子
-
「鎧や兜だ。武士の時代にきたぞ。
ここでも革が使われているんだね。」
- ピース
-
「革は固くて丈夫だから、
戦いのときはそれで身を守ったんだよ。
それに燃えにくいから、江戸時代には
火消の服や道具にも使われていたんだ。」
- 女の子
-
「昔からずっと革が使われていたことが
よくわかったわ。
でも・・・これから先はどうなるのかなあ。」
- ピース
-
「では、少しだけ未来へ行ってみよう!
せーの、カワッコ、カワッコ、ミニイコウ」
ヒュ~ン
- 男の子
-
「あっ、僕のランドセル!
使い終わったランドセルから
こんな可愛いのができるんだ!
あはは・・・傷もちゃんと残ってるよ。
記念になるね。
他にも、ペンケースとか定期入れとかも
作れそうだぞ」
- 女の子
-
「私のはまだきれいだから、
妹が使ってくれてる。
うれしいなあ!」
- 男の子
-
「革は生き物の命なんだね。
ずっと大切にしたいなあー」
- ピース
-
「きっと、もっとあるよ。
革でできるもの、革を使ってできること。」
- 女の子
-
「あー、はやく革で遊んでみたいなあー、
何か作ってみたいなあー」
- ピース
-
「ぜひ、君たちも革にさわって、
いろいろ作ってみてね!
君は、革のピースの声が聞こえるかな?
カワッコ、カワッコ、スクスク育てー」
≪おしまい≫